引っ越しにかかわる保険

引っ越しでは、万一の事故のために保険を掛けておく必要がある。貨物が破損したり焼失したりするとき補償される。大手の引っ越し業者では会社として「運送業者貨物賠償責任保険」に、加入している。従って保険料は会社が負担しているから依頼者には負担がかからない。加入していない業者もあるので見積書で確認しておくことが肝心だ。引っ越しの荷物を輸送している最中や積み込み中、荷卸し中、車上の仮置き中、荷物の開梱作業中などに荷物が破損することに対する補償となる。作業中に荷物を落下したりして破損の場合、輸送車両の事故で荷物が破損、盗難、水漏れ、火災や爆発に会った場合などに賠償してもらえる。ただし通常はひとつの引越しで賠償金額1000万円を上限とする制限がある。だから引っ越し荷物のなかに高価な箪笥や衣料品などがあり、1000万円以上になる予想があるなら自分でも引っ越し保険に加入しておいた方が良い。いくらの保険金額を設定するかにもよるがひとつの引っ越しで保険料は1000円くらいで収まるから大してかからないと考えて差し支えない。引越し業者が提携している保険会社に相談すると良い。ただ引っ越し見積もりの際、保険会社名を確認しておくことが肝心だ。自社保険といって引っ越し業者自身が保障するとした条項なら注意を要する。事故が起きたときトラブルになる恐れがある。相手が保険会社であれば、引っ越し業者とは別会社だからどれほど大きな事故でも対応が可能だ。ただし天災は免責になるので補償されない。東日本大震災のときには特殊な事情なのである程度対応してくれたようだ。引っ越し保険はネットなどで調べて自分で加入することも出来る。

バイクや車の引っ越し

引っ越しの時、バイクや車のあつかいはどうするのか。バイクは、大抵は引っ越しのトラックに乗せて運んでくれる。ただしガソリンタンクを空にしておく。ガソリンが漏れてほかの荷物に付くと引火の危険だけではなく、臭いが取れなくなる。大型バイクだとキャリーカーが必要となり、別送することになる。自転車は可。車は別送となる。キャリートラックまたは陸送屋に頼む。もちろんそれだけ引っ越しの費用がかさむ。自分で運転していくのは自由だ。バイクや車は地方では必需品でも引っ越し先が都会ならあまり必要なくなるかもしれないので現地事情を事前にチェックのこと。都市では駐車場の確保が大変だし代金もかかる。場合によっては引っ越しの際に処分を考えたほうが良い。海外へ引っ越しする場合は別送あつかいにするのが良い。但し本人が使用中の車であり、引っ越し先の国でも本人が使用することが条件。販売しないことを証明しなければならない。所属する企業が発行する転属証明書、パスポートや航空券などをコピーして通関書類といっしょに通関業者に提出する。出国先ごとに必要書類が違うから業者のアドバイスに従うこと。国内でも車やバイクには、移動手続きが必要となる。自動車保管場所証明書、自宅に駐車できずに駐車場を借りているなら自動車保管場所使用承諾証明書を所轄の警察に。引っ越し後15日以内に車検証、車庫証明、新住所の住民票を陸運局に持参して車検証の変更をする。軽自動車の場合は軽自動車検査協会で手続きする。協会の管轄が違う場所への引っ越しではナンバープレートも持参のこと。提出書類は車と同じ。原付バイクなら現在居住地の市区町村にナンバープレートを返却して、廃車申告受付書を交付をしてもらい、これに住民票を添えて、15日以内に、引越し先市区町村に届け出て新しいナンバープレートをもらう。軽二輪なら届出は陸運局になる。軽自動車届出済証、住民票、自賠責保険証を15日以内に持参する。引越し先の管轄が違う場合はナンバープレートも必要。251cc以上の小型自動二輪も陸運局の管轄が異なるなら15日以内に自動車検査証、ナンバープレートに住民票を添えて提出する。

動植物の引っ越し代

引っ越しのとき、観葉植物や庭木などはいっしょに運べるかというと、国土交通省が示した「引越運送約款」では運送のときに特殊な管理が必要なので他の荷物と同時に運送するには向かないものは、引き受けなくともよいとしてある。ペットや植木がこれに当たる。それでも大抵の業者は引き受けてくれる。ただし例えば日通のQ&Aを見ると植物は、運ぶが水分の調節などは依頼主がすること、万一枯れても補償しないと、やんわり注意している。契約の時、免責事項のなかにその旨明記されているはずだ。それでも運びたいならダンボールにたくさん詰めて倒れないようにすること、水漏れには細心の注意をする。貴重な盆栽や大きな庭木などは専門に扱う業者があるので、そこへ依頼すること。運搬には注意が必要であると同時に乾燥させないようにしなければならないので、夜運送するとしている専門業者もある。姫路市には姫路市グリーンバンクという制度があり、市のHP上で不要の庭木を公開し、希望者に斡旋している。人に譲れるかどうか調べてみるのも手だ。
その他、ピアノなど他の荷物と同時に運送するには向かないものも専門の業者に依頼するのが良い。美術品なども専門運搬業者に依頼する。日通には美術品を専門に扱う部門がある。ペットは移動で変わった環境にストレスを感じやすい。夏場の運搬ではゲージやキャリーケースが熱くなる。引っ越し業者から専門業者に依頼する場合もあるが別途料金を取られる。ただし責任は発注した引っ越し業者が持つことになる。契約の時、しっかり確認しておくこと。一旦ペットショップや動物病院に預けておいて、あとから受け取りに行く方法もある。犬は、狂犬病の登録変更手続きを忘れずに行うこと。

梱包代金

引っ越し荷物の梱包資材としては、ダンボールのほかに気泡緩衝材など、さまざまな便利な資材がある。荷物によって使い分ければ、安全でスムーズな引っ越しが出来る。見積もり段階で、荷物を見てもらい業者からアドバイスしてもらうと良い。例えば以下のような資材がある。その1。洋服をハンガーにかけたまま輸送できる箱。その2。食器をそのまま入れて運ぶ箱。その3。家具類を包む梱包用包装紙。その4。さまざまなガムテープ。手でちぎれるもの、仕分けに便利なカラーもの。あとで剥がしても跡が残らないものなど。その5。養生資材。これは搬入搬出の際、建物を傷つけないようにカバーする材料のことだが、このようにいろいろ、大手の業では独自の資材開発に努力しているので、新しい製品が次々に出て来る。梱包は引越しする日の朝までには、すぐにトラックに積めるまでにしておければ、スムーズに作業が進むのだが、なかなかそういかないのが多忙なサラリーマンの泣き所だ。自分でせずに、業者に任せることも出来る。作業をどこから任せるか見積もり段階でアドバイスをもらうと良い。荷解きも作業員に任せるのは可能である。年寄りや介護の必要な人は、一切を任せるほうが世話がない。引っ越し代はかかるかもしれないが、あとで病院通いするよりは良いだろう。特殊な梱包資材は、あとで引き取ってくれる。空のダンボールも引き取ってもらう。無料引取りをPRする業者もある。団地の子ども会などが回収して活動資金にしている場合もあるので、住む場所によっては寄付するのも良い。

気泡緩衝材はいくら

引っ越しの際、食器やガラスなど壊れやすい物の梱包に気泡緩衝材を使う。呼称にはさまざまあるが、「プチプチ」が通りやすいだろう。川上産業が「プチプチ」の商標権を持つ。88が突起に似ているし、パチパチと読むとプチプチに似ているので、川上産業では8月8日を「プチプチの日」としている。英語で「bubble wrap」と言うが、アメリカ人発明者(アルフレッド・フィールディング、マーク・カヴァネス)が商標権を所有する。引っ越しを依頼すると業者は事前に巻いたままの気泡緩衝材を持ってくる。全部を使い切るのは稀なことで、大抵は残す。余った場合は、引っ越し代から引いてくれるのか、契約前に確認しておくこと。ふつう気泡緩衝材は、契約した金額に組み込まれ、使用した分量にかかわらずそれ以上の加算金額はない。余れば業者が回収する。食器だけではなく引っ越し荷物に壊れやすいものが多いなら見積もり以前に、実物を見てもらい、梱包資材の量を確認してもらってから見積もりさせた方が良い。食器類は、梱包するのもダンボールに詰めるのも、プロの作業は素人とは違う。どちらが行っても割れないような梱包にはなるだろうが、詰め方が整頓されていて量が違う。素人は割れないことばかり気にするので過剰梱包になってしまい荷物量が増えてしまう。その分ダンボールの数が増えるので契約によっては、払わなくとも良い引っ越し代を支払うことになる。アート引っ越しセンターにはエコ楽ボックスという資材がある。陶器やシューズをそのまま収納できるケースになっている。引っ越し代を加算しようとたくらんでわざと過剰に梱包する悪徳業者もあるらしいから、業者に梱包を依頼した場合は、そばで見ていてそんなに包まなくともいいよと注意するのも必要だろう。

ダンボール代

引っ越しの荷物を入れるのにダンボール箱を使用する。見積もりの中に引っ越し資材としてダンボール50枚まで無料などと記載してある。食器や本など重量物は、サイズの小さいダンボールに、衣類など比軽いものは中サイズ、カーテンや毛布類などかさがあるものは大サイズのダンボールを使用する。大きさには規格がある。規格に合致したダンボールなら、隙間なく積めるし上積みでも荷崩れしない。たくさんの荷物でも作業効率が良い。経験豊富な引っ越し業者は、自社のダンボールを常備して、これを使うよう薦める。見積もりを見て注意しておく点は、「何枚まで無料で使えるか」「条件以上を使った場合引っ越し代はどう変わるか」また、荷造りしてみると想定外の荷物量となり、ダンボールが増えてしまったり、逆に少なくなったりする。こうしたケースでは余ったダンボールは引き取ってくれるのか。ダンボールばかりではなくガムテームなどの引っ越し資材も、どのような計算になるか、発注する前の確認が肝心。スーパーマーケットから「ご自由にお持ち下さい」コーナーのダンボールをもらってきて使用しても一向にかまわない。引っ越しの主人公は依頼者なのだから、荷物の形状にかかわらず受注した業者は引越し先に破損したり傷つけることなく、依頼人の荷物を届けなければならない。ただし、車に積み込む前に荷造りがしっかり出来ているかどうかを業者が確認するだろう。受注者立会いのもとで互いに確認したうえで荷物と運搬引き受け責任の受け渡しが完了する。あまり大きさが違ったダンボールがたくさんあると、確認の時点で業者指定のダンボールに詰め替えなければならない事態となって、引っ越し代がかさむことにもなりかねない。要注意だ。

プロバイダ変更も引っ越しのうち

引っ越ししたら、プロバイダの移動も必要になるかもしれない。プロバイダとはパソコンとインターネットを接続するための組織を言う。代表的なものにはOCN,so-net,niftyなどのほか地域を起点としたプロバイダが無数にある。インターネットやメールを始めるには、専用回線が必要になる。回線にはフレッツ(NTTが回線に使用している名称)やADSL,CATVなどがある。日本国内の都道府県庁所在地なら、専用回線もプロバイダも大手のところはほぼ契約可能だ。しかし都市部以外ではまだFTTHもADSLも通じないところがある。地方自治体により、CATVで過疎地をカバーしている行政もある。このため引っ越して行く地域のサービス情況を把握することが肝心となる。それから必要となれば専用回線とプロバイダの移動手続きをする。NTTではフレッツ光やフレッツADSLを申し込むと、NTTが契約しているブロバイダの中から選べる。ただし回線契約とプロバイダとの契約は別なので両方と契約が必要となる。プロバイダ側がNTT回線をセットにしているものもある。この場合は「withフレッツ」の名称を使用している。ここではプロバイダ契約をすると回線契約も済むようになっている。プロバイダを選択可能な環境に引っ越したのなら、使用料金が安いところを選べるかもしれない。動画を多く見たいのか、ひんぱんにメールするのかなど、使用内容を考えた上で選択すれば、サクサクつながる環境を作れるだろう。最近はヒカリが主流でCATVと同時契約で割引サービスする業者もある。プロバイダ移動では、自分のメールアドレスの変更も起きるのでこれにも注意しておくこと。今まで愛用していたアドレスを捨てなければならないこともある。ヤフーなどには無料でメールアドレスを取れるシステムもある。

引っ越しの手続き

引っ越しでは、モノが移動すると同時にヒトが移動する。ヒトが移動すると届けが必要になる。現在居住している市町村役場で「転出届け」をもらう。国民年金や医療保険の手続き(国民年金、国民健康保険、後期高齢者医療制度、)子どもについては、転校手続き、児童扶養手当、特別児童扶養手当、障害児福祉手当、子ども手当てなどがある。保育児なら保育施設の転出、医療福祉費支給制度(子ども医療費、重度障害者等医療費助成など)、老人なら介護保険手続き、障害者なら障害者手帳、特別障害者手当て、心身障害者扶養共済年金手続きなどがある。県民税や市民税、自動車税の納付。電力会社、ガス会社、水道などの停止。不動産登記住所変更新聞の停止。電話移設手続き、郵便物の転送手続き。自動車運転免許証、パスポート、飼い犬登録などなど、市町村により多少の違いはあるものの、これだけの手続きが必要となる。企業で本社が移った場合は、本店移転登記。引っ越し先では、転出とは逆の手続きとしてまず「転入届け」の提出から始まる。このほか、クレジットカードや銀行預金、生命保険などの住所変更、コンピューターのプロバイダ移動のほかにも個人の趣味などで所属していた団体への移動届けも出て来るだろう。列挙してみると、国家や地方行政にどれだけ縛られているかということに改めて気付く。普段あまり気にならずに生活しているが、社会生活とは組織の中での生活にほかならない。これを制約と取るか手厚い保護と取るかは、本人およびその家族の社会環境や考え方のスタンスによるだろう。

数社から見積もりを取る

引っ越し代は、条件にもよるが、各社で代金が違うから数社の見積もりを比較した方が良い。引っ越し代の場合だけではないが、商品を買ったり業務発注の際、一つの業者に最初から依頼せずに、何社からも見積もりをもらって比較検討すること。行政の発注では公正を期するために、入札を行う。入札とは公式な合い見積もりだ。個人の引っ越しでも、引っ越し業務の流れに従っての相談、移動に関する手続きについてのアドバイス、手続きの代行請負い、荷物整理と不用品処分、荷造り、運搬、荷ほどき、レイアウト設計、家具のセッティング、耐震処理、移動後の諸手続きまでを提供する引越し業者が増えた。見積もり依頼するには、自分が希望するサービス内容を提示し、どこまでの仕事をカバーしているか確認することがまずは肝心である。100%希望条件をカバーしていない場合もあるだろうが、その時には必要不可欠な事項から検討する。ネットなら「10社一括見積もり」など無料で見積もりが取れるサイトも多い。引越し先が近い場合、あるいは荷物が少ない場合などでは、地元の業者が安い場合が多い。大手だけではなく、地元中小からも見積もりを取ると良い。同じ条件のようでも違う場合がある。例えば荷物を詰めるダンボールだが、数量無制限で無料サービスされるのか、数量制限を越えた場合支払うのか、余ったら戻して、その分引っ越し代を安くしてくれるのかなど確認する。ノートラブルのコツでもある。出た見積もりは安いから依頼したのに、梱包資材を過剰に持ち込み、余った資材分を料金に加算する悪徳手口には要注意だ。

運搬の役割

引っ越し代の中心になるのは、何と言っても運搬にかかわる費用だ。それもほとんどはトラックによる輸送だろう。これを陸送と呼ぶなら、陸上にはトラックのほかに鉄道がある。国内であっても離島へ運ぶなら貨物船かフェリー、海外への引っ越しとなると海運または空輸を使うことになる。トラック運送が一般化する以前には鉄道網が発達している日本における貨物輸送は、貨物列車に依存していた。荷物は駅留めとなって、駅まで取りに行く。
現在、JRではコンテナ引っ越しを宣伝している。引っ越し荷物をコンテナに積み込んで
トラックで鉄道駅まで運び、目的地近い駅まで列車で運送し、下したら再びトラックで新居まで運ぶ。うまく使えば全行程をトラックで運ぶよりも運送費は安くあがる。引っ越し貨物はふつう常温貨物だが、企業における引っ越しなどでは保冷貨物や保冷倉庫を利用する場合がある。保冷貨物車は、最近では宅配トラックなどでも使っている。至近距離の引っ越し、荷物が少ない引っ越しなら自家用車で何度も往復するか、あるいはレンタカー、レンタルトラックを利用すれば安上がりになることもある。ただ荷物が破損したときの補償がないから、保険をかけておいた方がよい。1日だけの損害保険ならわずかな保険料ですむ。海外への移動は船舶でも空輸でも通関が必要となる。また国によっては先方では通用しない事項がある。例えばコンテナ使用なら20フィートと40フィートの規格のうち、40フィートが道路を走れない国がある。他にも制約があるかもしれないのでまえもって海外輸送を専門に扱う業者に相談しておくと良い。